第8章 問題6 モジャモジャぱーらめんと
「まあ確かに優姫ちゃんから目を離した私達に問題はあります。けれど一ヶ月以上屯所から出してもらえない優姫ちゃんの気持ち考えた事があるのですか?」
「「「 ……は、はい…… 」」」
「今回の事は近藤さん達にも問題があるのですからね」
「「「 ……ごもっともです 」」」
屯所へ戻って来るや近藤達は菊に説教されてしまうのだった。
江戸のトラブル娘
問題6 モジャモジャぱーらめんと
「優姫ちゃんの事を可愛がるのは全く問題無いですよ。だけれど優姫ちゃんは育ち盛りの子供なんですよ?ずっとこんな所に閉じこめられてたら抜け出したくなっちゃうに決まってるじゃないですか」
プンプンと怒って言う菊に局長である近藤すら何も言い返せずにいた。
「全く……今回は何も無かったから良いですけれど、もし優姫ちゃんが怪我でもしたらどうするんですか」
ある意味近藤よりも強い立場にいる菊の説教を障子の向こうから優姫は心配そうに見ていた。
「本当に優姫ちゃんが大切だったら彼女の意見も取り入れてあげなきゃ駄目でしょう」
「……申し訳ないです」
しゅん、と縮こまって言う近藤にジュースを持って来た山崎が言った。
「わ――久しぶりに見るなぁ、お菊さんの説教」
「退に―ちゃん」
「はい、優姫ちゃんのジュース」
冷えたジュースの缶を渡され、受け取りながら尋ねてきた。
「私の所為?」
シュン、と小さく言った優姫に山崎は苦笑いをしながら答えるのだった。
「いや――でもまあ丁度良いお灸かもしれないよ。ずっと屯所に優姫ちゃん閉じこめておくんだからさ」
そう言われても、ガミガミと怒られている近藤達を優姫は心配そうに見つめるのだった。
◆
「優姫ちゃんも危ないから一人で出かけたりしちゃ駄目だからね――」
「は―い」
二時間にも渡る説教がやっと終わり、菊は優姫の頭を撫でながら言っていた。その明らかに差別としか取れない行動に、十四郎はぼそっと言うのだった。
「……俺達の時と明らかに対応が違うじゃねェか……」
「当たり前でしょう。元々優姫ちゃんが屯所抜け出しちゃったのは、アンタ達の軟禁が原因なんだからね」