第7章 問題5 テロリストはヅラ
「戦が終わると共に姿を消したがな。お前の考える事は昔からよく分からん」
真顔な桂に対し、銀時はめんどくさいと言う気持ちが表情にしっかりと表れていて、ぼりぼりと頭を掻きながら返答した。
「俺ァ派手な喧嘩は好きだがテロだのなんだの陰気くせーのは嫌いなの」
しかしすっと真顔になった銀時ははっきりと言い放つのだった。
「俺達の戦はもう終わったんだよ。それをいつまでもネチネチネチネチ京都の女かお前は!」
「馬鹿か貴様は!京女だけれなく女子はみんなネチネチしている。そういう全てを含め包み込む度量がないから貴様はもてないんだ」
「バカヤロー俺がもし天然パーマじゃなかったらモテモテだぞ、多分」
「何でも天然パーマの所為にして自己を保っているのか、悲しい男だ」
「悲しくなんかないね。人はコンプレックスをバネにしてより高みを……」
段々話がそれていき、たまらず新八は大声で突っ込んでしまった。
「アンタら何の話してんの !! 」
そのつっこみで話の路線が元に戻り話し合っている姿を優姫はじーっと見つめていた。難しすぎて何を言っているのか分からない。でもとっても大事な話である事だけは分かる。優姫は邪魔をする事も無く、ただただ静かに見つめている。
そんな優姫の姿を先程からちらちらと見ていた一人の男性が思い出したらしく声を張り上げた。
「桂さん !! 」
「どうした?」
男性はワナワナと優姫の事を指さしながら言うのだった。
「さっきから何処かで見た事のある娘だと思ったら……。この娘、真選組屯所に居た娘ですよ !! 」
「なんだと !? 」
その一言にばっと全員の視線が優姫に移り、にぱっと自分の事を指さしながら優姫は言った。
「私?うん、私屯所に居るよ」
にこにことしている優姫に銀時はぐりぐりっと頭を撫でながら言う。
「お――無事に屯所に行けたか、そ―か」
「うん」
にこにことしている優姫の事をじーっと見てから桂は言ってきた。
「君は自分の状況が分かっているのか?我らは攘夷志士、真選組とは敵対する存在だぞ」
「私は屯所にいるだけ――」
はっきりとそう言い切った優姫に桂は考え込みながら呟く。
「ふむ……使いようにすれば人質になりえるかもしれないな……」
その一言に銀時は優姫の事をぎゅーっと抱きしめて言うのだった。