第7章 問題5 テロリストはヅラ
「うわ―――― !! 」
女中が寝泊まりする部屋に案内された優姫は嬉しそうな声を上げた。
「うん、やっぱり若い子には似合うわね」
菊はそう満足げな表情で頷いて言っていた。
「わ――わ――」
優姫は何度も嬉しそうな表情で自分の着ている着物を見ていた。
「どうも近藤さん達が買ってくる服って地味なモノばかり多いと思ってね。女の子なんだものオシャレな服着たいにきまってるのにね。まァあの人達にそう言う事は分からないと思うから、この間買い物行ってきた時に一緒に買ってきたの。優姫ちゃんなら絶対に似合うと思ったけどやっぱり似合うわね」
にこにこと菊は新調された着物を嬉しそうに見、何度も鏡台を覗き込んでいる優姫の姿を見て満足げに言いながら呼ぶ。
呼ばれるとすぐに優姫は菊の元へ戻ってきてすとんと行儀良く座るのだった。
「せっかく着物着たのだから髪の毛結ってあげるね」
言いながら素早く髪を櫛で梳かしていると、優姫が不満そうな表情で自分の髪の毛に触れて言った。
「私凄い寝癖くせっ毛なんだよなァ~~」
「そうね、結うのが大変そう」
すると優姫はぶーぶーと文句を言い出してくる。
「私、髪の毛ストレートになりたーい」
「あら、このくせっ毛はくせっ毛で可愛らしいと思うわよ」
菊が笑顔でそう言っても優姫は納得いかない表情で、跳ねている前髪を掴んで伸ばしている。
「おばーちゃんもね『優姫の髪の毛は寝癖が酷いからしばるのが大変だねぇ』ってよく言ってた――」
「くせっ毛はまとまりにくいから仕方ないわね。はい出来た」
髪の毛を結い終わったらしく菊にそう言われ優姫は急いで鏡台を覗き込んで言った。
「わ――お菊さん上手――――!」
「簪挿してあげるわ」
そう言って菊が簪を挿した所で襖が開いて一人の女中がやって来た。
「どうかしたの?」
菊が立ち上がって尋ねると女中は困った表情で言ってきた。
「それがお菊さん大変ですよ。またお釜が壊れちゃったみたいで」
「あらあらそれは大変、すぐに行くわ。優姫ちゃん用事入っちゃったから私は台所に行くわね」
「うん、お菊さんありがと――」
にぱっと返事をすると菊と女中は足早に去って行った。
「新しい着物――」