第5章 問題3 コレステロールって気にしないの?
「えっと……えっと…………」
優姫はきょろきょろと辺りを見回して首を傾げた。
「んと…………真選組屯所って何処?」
優姫は迷子になっている様だった。
江戸のトラブル娘
問題3 コレステロールって気にしないの?
晋助に言われ真選組の情報を入手する為屯所へ向かったのだが、此処に来てから数時間の優姫に地理が解る筈がなく、どうしたモノかと首を傾げて今に至る。
「ん――確か窓から見た時は分かったのだけどなァ……取りあえず大きな建物探せばいいのかな?」
優姫は特に深く考える事もなく、ぽんと手を叩いて言った。
「えっとえっと…………」
きょろきょろと歩いていると前から歩いて来た人のお腹にぼすん、と当たり優姫は顔を押さえながら言う。
「わ…………すいませ……」
「大丈夫か?」
顔を押さえている優姫に心配そうに声を掛けて来た相手に優姫は大きく頷く。
「また珍しい格好してるけど観光者か?」
「えっとえっと」
優姫は顔を擦ってから見上げて言った。
「あのね私、真選組屯所に行きたいの」
「あ?屯所に?」
「うん」
にっこりと答えると天然パーマの様な髪型をした青年は大きく欠伸をしてから言った。
「屯所なら次の角を右に曲がってその先の道路渡って今度は左だ」
「ありがとう」
道を説明してもらって笑顔でお礼をすると青年はほのかに赤い顔をした。
(うわ…………なんか可愛い奴だな)
青年が無意識に優姫の頭をぐしゃぐしゃと撫でて来たので、優姫はじーっと青年の事を見るのだった。
銀色の髪の毛が寝癖なのか天パなのか分からないが、取りあえずぐしゃぐしゃとしている。
目は……はっきり言って死んだ魚の目をしている。
死んだ魚のような目が余程気になったのか、優姫がじ―っと見ていると青年は目線の高さを優姫に合わせて言う。
「ん、ど―かしたか?」
両肩に手を置いてにこにこと話かけて来た青年を見つつ、優姫は本来の目的を思い出して言った。
「あ、屯所に行かないと。おにーちゃんまたね」
へらっと微笑んだ少女を見て青年は顔を赤くしつつ大きく頷いて言った。
「おーおー、お兄ちゃんいつでも待ってるからすぐにでもいらっしゃい」
「うん。あ、道教えてくれたお礼にこれあげる」