第22章 問題20 真実
どれも攘夷に関係するモノだった。攘夷戦争の事はもちろん、攘夷浪士の事も書かれている。
こうなると近藤が話してくれた事が真実であると物語っているのだ。
認めたくない。
その一言が十四郎の脳内を駆けめぐっていた。
「……ねえ」
そっと声を優姫は言った。
「じょーいろーしって悪い事してるの?」
「…………優姫……」
本当に優姫は何も知らなかったのだ。否、知ろうと思わなかった。晋助の言った事が正しい事なのと信じていたのだ。
「……悪いの真選組じゃなくて攘夷浪士なの?」
「優姫……」
今にも泣き出しそうな表情の優姫に、十四郎は胸を締め付けながら正直に答えた。
「攘夷浪士は犯罪者だ。お前騙されてんだよ……」
『俺達は天人から地球を取り戻す攘夷志士って言う正義の味方だ。あの裏切り共達は真選組って言う』
十四郎が答えた瞬間、初めて会った時に晋助が言った言葉が脳裏を掠めた。
「嘘だっ!」
「優姫、俺の話を聞け」
何とか優姫の事を落ち着かせようとする十四郎に向かって優姫は叫び言った。
「そんなの嘘だもん!晋助嘘なんか付かないもん !! 嘘付いてるのは土方にーちゃんの方だもん!」
そう言うと優姫はシンを抱きかかえて立ち上がった。すぐに走り出し、十四郎の隣を優姫はすり抜けていく。
すぐに優姫が何処へ行こうとしているかを理解した十四郎は叫んだ。
「誰か優姫を止めろ!外へ行かせるな !! 」
部屋へ戻った優姫は鞄を掴むとまっすぐに玄関へ出た。丁度其処に万事屋一行が来たらしく、いつもの表情で声を掛けてきた。
「優姫、どっか行くのか?」
銀時の質問に答える事無く、優姫はそのまま走り去ってしまった。慌てて後を追ってきた十四郎は銀時の姿を見るなり怒鳴った。
「万事屋!テメー優姫が攘夷浪士だと知ってたな !! 」
「んでお前その事を……」
驚いた表情でいる銀時に十四郎ははっきりと言った。
「優姫が高杉の野郎の所に戻って行きやがった!早くしねェと手遅れになるぞ !! 」
◆
「ハァ……ハァ……」
優姫は初めて晋助と会ったあのあばら屋へ戻って来た。あの時と全く変わらないその風景に、優姫は黙って見上げていた。
この建物の一番上の階に晋助がいる筈だ、と。
「……キュー」