• テキストサイズ

【銀魂】江戸のトラブル娘【逆ハー夢小説】

第22章 問題20 真実


「優姫ちゃんなんですけれど、ずっと資料室に閉じこもったままなんです」

 心配そうな菊の声が屯所に聞こえていた。


江戸のトラブル娘
第20話 真実


「お祭り以来ずっとあんな感じで、帰ってきた時も泣いていたし心配だわ」

 深い溜息をついてから菊は言い加えた。

「そう言えばあの日以来、万事屋さんが毎日訪ねて来てくれてるんです。今日はまだ来ていないみたいですけれど……」
「優姫ちゃん何が遭ったのか全然口開いてくれないから、俺達でもちょっと対処に困っててな。今日万事屋の奴等が来たら話を聞こうと思ってるんだ。アイツ等なら何か知ってそうだから」

 そう言った近藤は心の中に小さな不安の種が疼いていた。


 松平が以前言っていた優姫の攘夷浪士疑惑。あの日、高杉晋助の姿が目撃されていた、と言う噂。
 優姫が高杉晋助と一緒にいた、と言う噂。

 もし、全てが事実であるのならば優姫はあの日晋助と何かが遭ったのだ。そして今、資料室に閉じこもっていると言う事柄から導き出される考えは一つだけ。


 優姫は攘夷浪士が何なのか本当の事を伝えられていなかったのだ。優姫の性格から考えれば、上手い事言われて騙されていた事など目に見えている。

(優姫ちゃん……)

 今は見守る事しか出来ない自分が近藤は悔しかった。





「キュー」
「ふえっ !? 」

 シンの声に優姫はハッと目を醒ました。どうやらうたた寝をしてしまっていたらしい。慌てて涎を拭いてから優姫は持っているファイルに再び目を落とした。


 真選組は幕府管轄の組織だ。
 その真選組が住むこの屯所には膨大の資料が置いてある。きっと攘夷浪士の事について述べられている資料も沢山ある筈だ。
 そう思って資料を端から見ているのだった。


「キュー」

 心配そうに見上げて来るシンの頭を優姫は撫でてやった。

「笑い損なった顔してるぞ」
「……ふえ?」

 顔を上げると其処には眉間に皺を寄せている十四郎が本棚にもたれ掛かっていた。

「……土方にーちゃん」

 名前を呼ばれると十四郎は大きく溜息をついた。優姫はこんな表情をする少女だったのだろうか、と。
 何時もニコニコと笑っていて楽しそうにしているのが優姫だ。


 今の優姫はまるで別人の様な儚げな表情をしていた。


 十四郎は優姫の周りに散らばっている資料に目を落とした。
/ 125ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp