第21章 問題19 攘夷祭り~後編~
「あっはい!」
「優姫の事ちょい預かってろ」
「わ、分かりました。優姫ちゃん」
手招きされて優姫は銀時から離れた。
無事に新八の元まで行ったのを確認して、木刀に手を当てつつ銀時は言った。
「優姫、これ終わったら屋台食い倒れツアー行こうぜ。お金は銀さんが全部出してやる」
「……銀にーちゃん」
完全に準備が整った三郎を見て源外が叫んだ。
「撃てェェェェ !! 」
その声と同時に動いた銀時を見、優姫はぼそっと声を漏らした。
「……さぶろー」
「「 !! 」」
次の瞬間、撃つとばかり思っていた三郎が手を下げたのだ。
いきなりの事に銀時も源外も目を見開いたが、飛び出した銀時が急に止まれる筈もなく、その攻撃が思いっきり当たるのだった。
「三郎ォ !! 」
音を立てて倒れた三郎の元へ駆け寄り源外は言う。
「バカヤロー !! なんでオメー撃たなかっ……」
「…………親父……油マミレ……ナッテ楽シソーニ………カラクリ……テルアンタ……好キダッタ………マルデ…ガキガ泥ダラケ……ハシャイ……デルヨウナ……アンタノ姿……」
とぎれとぎれ言う三郎は微かに動いた。
しっかりと優姫の事を見て再び三郎は言う。
「アンタ……笑顔……似合ウ…………親父モ………アイツモ……アンタノ笑顔好キ……ダカラ……泣クナ」
それだけ言って動かなくなった三郎に源外は叫んだ。
「どうしろってんだ !? 一体俺にどーやって生きてけって言うんだよ!」
「さーな……長生きすりゃ良いんじゃねーのか……」
そう言った銀時は優姫の方を見て言う。
「それよりも高杉の馬鹿が優姫連れ戻しに来たって本当か」
「あ……ああ。確かそんな事言ってたぜ。長く置きすぎたってよ」
「ならあの馬鹿に伝言しておけ」
しっかりと優姫の手を握りしめて銀時は言い切った。
「オメーにくれてやる優姫は一人もいねェってな。手ェ出すなら一発殴るってな」
「…………無駄だとは思うけどな」
◆
「優姫。お前高杉のヤローと関わってるって本当か?」
騒動に紛れて源外が姿を眩ませたのを確認すると優姫に向かって言った。
優姫は未だに状況が飲み込めずにいるらしい。瞳に沢山の涙を溜めて。
「…………何も聞いてない」
「優姫、怒ってる訳じゃねェんだ。お前を護る為には大事な事なんだ」