第21章 問題19 攘夷祭り~後編~
その場を見て優姫は声を飲み込んでしまった。銀時の後ろにぴったりいるのは晋助だった。
その手には鞘から少しだけ出された刀が握られ、銀時の背後を取っている、と言う状況だ。
「優姫 !? お前なんで此処に……」
「優姫、待ってろって言っただろう」
ゆっくりと口を開いた高杉に銀時は目を見開いた。高杉と優姫が面識があるなど信じられなくて。
一方の優姫は状況を掴めていないらしく、しどろもどろに言うのだ。
「あの……ね、花火始まっても晋助戻ってこなくてね…………。そうしたらじょーいのテロだ、……ってね…………それでね……」
「高杉!テメーどういう事だ !? 何でお前と優姫が面識っ……!」
そこまで言った銀時はすぐに結びつく一つの真実に顔色をがらりと変えた。
「優姫!お前まさか……」
優姫と高杉が面識あるのなら理由は一つしかない。
他の人間ならたまたま出逢った、で済む話なのだが高杉の性格からすれば『たまたま』などあり得ない。
優姫は攘夷浪士である、以外はない。
「高杉テメ―― !!!! 」
「俺はァ何もしちゃいねーぜ」
にぃっと笑う晋助に銀時は奥歯を噛みしめた。
一方の優姫は必死に思考を働かせて状況を理解しようとした時、三日前に晋助が言った言葉を思い出した。
『復讐したくねーか』
話しかけていた相手は確か……。
「……おじーちゃん!」
顔色を変えて優姫は祭り会場の方へ走っていった。
◆
祭り会場へたどり着いた優姫はその光景に足がすくんだ。
源外が作ったカラクリと真選組が交戦を続けていた。その中にはもちろん近藤達の姿も在って。
「……おじーちゃん…」
きょろきょろと探すと源外がステージの前に三郎と立っているのが見えた。急いで近寄ると優姫の存在に気付いたらしく源外は言った。
「嬢ちゃん、危ねェからそこから離れろ」
三郎の腕を弄りつつ言う源外に優姫はぎゅっと着物を握りしめて言う。
「……おじーちゃん何してるの?」
「何って復讐に決まってるだろうが」
騒ぎの中、やっと源外の姿を捕らえた新八は近寄りかけて立ち止まった。源外の口から出た言葉に驚いて、だ。
「攘夷浪士である嬢ちゃんなら分かるだろう」
「優姫ちゃんが攘夷浪士……何言って……」
今まで一緒にいて優姫にその様なそぶりは一回も無かった。