第21章 問題19 攘夷祭り~後編~
それから色々な屋台を見て回った。楽しい一時とはこの事を言うかの様に。
「そう言えば源外のおじーちゃん花火パンパンやるんだよね――?」
林檎飴を食べつつ尋ねてきた優姫に晋助は頷いた。
「楽しみだね――花火」
にっこにこと相変わらず何も知らずに笑っている優姫に心が痛まないと言えば嘘となる。
自分が源外に向かって何を言ったのか、何をする様にし向けたのか。優姫が知れば絶対に悲しむだろう、と。
「そろそろ花火の時間だね――」
完全に今の興味が花火に注がれているらしく、優姫は笑顔でいた。
その中、まだ距離はあるのだが銀時の姿を捕らえた晋助はぽん、と頭を撫でて言うのだった。
「すぐに戻ってくるからここで大人しく待ってろ」
「おトイレ――?」
首を傾げた優姫に晋助は黙って頷いた。
「了解とです!シンとお留守番してる――!」
そう言い、人混みから避けた場所に移動して優姫は言った。
「花火までには戻ってくる――?」
「ああ」
そう言って人混みの中に消えて行く晋助の後ろ姿を眺めてから足下にいるシンに話しかけた。
「早く帰ってこないかな――」
「キュー」
パタパタと尾を振るシンの頭を優姫は静かに撫でるのだった。
ドーン
「あや、花火始まっちゃった!」
大きな音と共に綺麗に空を染める花火の姿を見て、優姫は急いで立ち上がった。辺りを見回してみたが晋助の姿は何処にもない。
「晋助まだかな――?おトイレそんなに混んでるのかな……」
ぎゅっとシンの事を抱きしめつつ晋助が戻ってくるのを待っていると、なにやら様子がおかしい事に気が付いた。
悲鳴を上げながら見物客が逃げ出しているのだ。
「テロだ!攘夷派のテロだァァァ !! 」
「………じょーい?」
一瞬にして脳裏に浮かんだのは晋助の姿で、優姫は慌てて逃げまどう人混みの中に飛び込んだ。
逃げている人達に対して逆走すればいい。本能でそう判断した優姫は急いで走り出した。
「じーさんをけしかけたのはお前か……」
聞き覚えのある声に優姫ははっとして立ち止まった。
今の声は間違いなく銀時のモノだ。と、言う事はこの近くに銀時がいると言う事になる。
必死にきょろきょろと辺りを見回し、その姿を捕らえた優姫は慌てて駆け寄って言った。
「銀にーちゃ……」