第19章 問題17 下着イリュージョン
「困ったわねェ」
大きく溜息をついている女中達に優姫は不思議そうに声を掛けた。
「どうかしたの――?お腹痛い?」
「キュー」
一緒に心配してくるシンの姿も見て、女中は困った顔で説明をした。
「実は優姫ちゃんが宇宙旅行に行ってる間から頻繁に起きてるのよ」
「う?」
沢山の洗濯物を見て女中は溜息をついてから言った。
「下着泥棒。またやられちゃったみたい」
江戸のトラブル娘
問題17 下着イリュージョン
「下着消えちゃったの?イリュージョン?」
泥棒だと言ったのに魔法かと尋ねてくる優姫に女中は再度説明した。
「下着泥棒よ。最近新聞にも取り上げられてるけど、『怪盗ふんどし仮面』って言う変態男が江戸の町の娘の下着を盗みまくってるみたいなの」
「ドロボー !? 悪い人だ!」
ずびっと指を指して言う優姫に女中達は口々に言う。
「屯所なら安全かと思ったけど駄目みたいねェ。本当に困るわ」
「優姫ちゃんも盗まれない様に気を付けてね」
「は――い」
◆
「ドロボーさんはとっても悪い人なんだよ」
その後優姫は縁側で泥棒についてシンに教えているのだった。
「シンは真選組の番犬だからね、みんなの下着をドロボーさんから守らないと駄目だからね」
何時から番犬になってしまったのだろう、とシンは感じつつも優姫の言う事は絶対だから大きく頷き鳴いた。
妖しい人を追い払う事くらいならシンには朝飯前だから。
「どうやって捕まえようかァ」
腕を組んで考えていると後ろからやってきた菊に声を掛けられた。
「優姫ちゃん、お洗濯物畳むの手伝ってもらって良いかしら?」
「はーい!」
しゅびっと手を挙げて優姫は菊の後をついていった。
一通り洗濯物を畳んだ優姫はとある異変に気付いて声を出した。
「あれ――?」
きょろきょろと辺りを見回している所、ちょうど巡回から戻ってきた十四郎が声を掛けた。
「何洗濯物見てるんだ?」
「あ、お帰りなさい――」
へにゃっと笑うと一緒に戻ってきたらしい総悟が笑いながら言った。
「そう言えば最近下着泥棒が酷いらしいですけど、優姫は大丈夫ですかィ?まァ大丈夫に決まってると思いますさァ」
そう言われて優姫は思い出した様に手を叩いて言うのだった。
「あ、そう言えばね私のパンツが無くなっちゃった」
◆