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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第13章 魅惑の香【🦾主 ← 🫖 & 🌹 ✉*】


「主様、………主様」



「ひぅ……やっ、激しっ……ああぁっ」

はじまった律動に、すがるものを求めて手を伸ばした。

その指先を絡めて、微笑いかける。



「大丈夫……。私が、捕まえていて差し上げますから」



「べりあん……。」

舌足らずな甘い声で、己の名を紡ぐ。

それだけで、胸のなかに温かさが染み込んだ。



彼女の肌から芳香が薫る。



はじめて彼女をみた時と同じ、桜と桜桃が混ざりあった、惹きつけられる香りだった。




知らず掬い上げ、唇を寄せると、はっとしたようにその身を震わせる。

その仕草に花筒が収縮し、彼にさらなる快楽を齎した。



「主様ー? オレもみてくださいっす」

彼女の上に乗った体制のまま、熱い舌がざらりざらりと肌をなぞる。



「あ、もん……それ、いやっ………!!」

霞んだ瞳に睨まれて、はっと吐息を封じる。

ふるりと身を震わせて、快楽に乱れる姿は、他の誰より美しいと思った。




儚げで、いじらしくて、………穢したくなる程に美しくて。



ふたりに揺さぶられながら胸を捏ねられれば、他の思考など消え去っていく。

ずぶずぶと、深くふかく侵食するものは、獰猛なまでに漲っていた。
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