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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第6章 仮面の下で【🫖 ⇋ 主 ← 🦋‪ & 🍷 ✉】


「……わかりました」
最終的に、根負けしたように頷いた。



「では、此方へ」
中庭に降り立つと、冷たい外気が身体の熱を一瞬で取り去っていく。

ふたり並んで歩きながら、彼女は唇をひらいた。



「それで、お話とは……?」
そう問うた途端、したたかに手首をつかまれる。



「っ………!」

そのあまりの力強さに、思わず顔をしかめた。

彼はそんな彼女の様子など気にする素振りもなく、ぎりぎりとつかんだ手に力を篭める。



「貴女の目的などわかっているのですよ」

口調は穏やかだが、その両目は底冷えするほど凍てついていた。



「っ、離し………ッ」

振り払いたくても、篭められた力がそれを許さない。



「大方、貴方がたの飼い主の差し金なのでしょうが………。

便利屋風情が私を暴こうとするなど……ねぇ? 『主様』」

放たれた言葉に唇をひらく。



「私のことはどう思っていただいても構いません。でも皆のことを侮辱するのはやめてください」

注がれる視線に怯むことなく睨みかえす。



「っ、この私に指図するなど……!」

振り上げた手にぎゅっと目を封じる。



………しかし、いつまで経っても痛みはなく。



そっと目をあけると。
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