• テキストサイズ

訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第6章 仮面の下で【🫖 ⇋ 主 ← 🦋‪ & 🍷 ✉】


「今夜の任務が御不安かな」

まっすぐに見つめると、大きな瞳がまたたく。



「! どうしてわかったの……?」



「わかりますよ。私は、貴女専属のお医者さんですからね」

包み込んでいた手をとり、指先を絡めていく。



「ルカス……?」
途端に、その瞳がとまどいを映す。



いつ見ても、彼女の瞳は美しい。
その瞳を曇らせるすべてが許せなくて、鎌を振るってきた。



「すみません。少しの間だけですから……ね?」

そう言って微笑って見せるけれど、彼女は微笑んではくれなかった。



悲しげに唇をかんで、彼をみつめている。



「主様……?」

その眼差しを向けられる意味を図りかねて、今度は彼が戸惑いをみせる。



「主様、………ルカスさん。お時間です」
ふたたび叩扉され、とらえたのは別の声。



「ベリアン……いま行くよ」

そう言って微笑んだ時には、いつもの穏やかな笑みを浮かべる彼に戻っていた。



ジャケットの内ポケットから仮面を取り出す。



彼女もまた、そっと仮面をつけた。



「では、いこうか……主様」
真っ黒な眼窩越しでも、優しい笑みを浮かべているのがわかる。



「うん、」
差し出された手に、そっとみずからのそれを重ねた。
/ 242ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp