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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第5章 あなたと紡いだ時間たち【All Characters ✉】


「ラムリくん、皆……そろそろお開きにしようか」

微笑んで、一同へと視線を送る。



「……そうだな」



「えぇ」
同意する彼らのなかで、ベリアンは彼女に手を差し伸べた。



「ベリアン……?」
みひらく視界の先に、優しく微笑う瞳。



「こちらへ。………貴女の今日これからの時間を、私がすべて頂きたいのです」



「喜んで………。」
辞していく背を見送り、彼の瞳が切なげな色を宿す。



「ルカス様〜! こちらはどうやって外すんでしたっけ?」

ラムリの声が、瞳の色を掻き消した。

瞬時に穏やかな笑みを作り出し、彼の元へと向かうつま先。



「あぁ、いま行くよ……!」



(想いが交わることはなかったけれど——。)

願わくば、どうか、おふたりの紡ぐ時が幸福であるように——。



なかば祈るようにこころへと載せると、他の執事たちを手伝いはじめた。
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