第5章 あなたと紡いだ時間たち【All Characters ✉】
同刻、彼女の部屋にて。
「ベリアン、今日は本当にありがとう」
微笑うヴァリスをそっと引き寄せる。そして気づいた時には、彼の腕のなかだった。
「っどうしたの?」
見上げる目元がわずかに染まっている。そんな彼女の頬に、そっとキスを落とした。
「礼を申し上げるのは、私のほうです」
私だけにみせる、優しい笑み。
ぎゅ、と包み込む腕に力を篭められ、彼女は唇をひらいた。
「私……何にもしてないよ………?」
「貴女は私の光です。貴女が私を選んでくれたから、今の私がいる。
どうか……これからもお傍にいさせてください。
執事としてではなく、一人の男として、貴女を支えたいのです」
あふれた雫を受けとめて、彼は微笑んだ。
「私も……ずっと貴方といたい」
滲む瞳のまま、彼の背に腕をかける。
唇が重なる。想いを交わらせた日と同じ味がした。