第26章 今宵はふたりで【過去作派生中編 🤍→主←🐾 ♟️】
「とっておきのコツがあるのですが………、聞きたいですか?」
「勿体ぶるな、ラト」
目を眇めるシロに、その唇にのせた笑みが深まる。
愉しげに瞳を煌めかせて再度その唇をひらいた。
「くふふっ……怖いですねぇ。では、教えてあげましょう。
ロンドを踊る時は相手に恋をするような心地で。
おふたりともステップ自体は完璧なのですから、あとはそのぎこちなさを取り去れば様になるでしょう」
艶やかに細めた双眸に、何処か面白がるような感情の色が宿っている。
その瞳を向けられる意味を図りかねて、ヴァリスは思わず彼をじっと見つめた。
「………?」
戸惑った表情で彼のおもてを見つめていると、再度指が伸びてくる。
「シロ……?」
何処か面白くなさそうな顔で彼女の頤の下に腕を回し、その身を自分のほうへと引き寄せる。
そっと見上げる瞳から僅かに視線を解きつつ、その唇をひらいた。
「上手くなりたいのであろう?
もう少し、お前の練習に付き合ってやる。有難く思うがいい」
そう告げる彼にくすりと笑みを零しながら頷く。
「ふふっ……うん」