• テキストサイズ

訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第4章 今宵は貴方と【✝️ ⇋ 主 ← 🦾 & 🌹 ✉】


降り立った先は中庭だった。

さぁ……と風が吹き抜け、身体の熱を奪っていく。



「綺麗………。」

ショールをきっちりと巻つけながら、花の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。



「主様……。」
おもてを上げると、そこにいたのは。



「ボスキ……。」



「こんな夜更けにどうしたんだ」

問いかけながらみつける眼は、わずかな棘を宿していた。

みずからの上着を脱ぎ、肩に着せかけてくれる。



「ごめんなさい。なんだか……眠れなくて」



「だったら……俺と来てくれないか」
驚いて彼をみつめると。



「あー……変な意味じゃねえ。ただ……あんたとみたい場所があるんだよ」

ガシガシと頭を掻きながら呟く。

逸らした頬にはほのかに朱が集っていて、知らず微笑んだ。



「笑うなよ。俺がこういうの苦手だって、あんたも知ってるだろ?」

ぶっきらぼうに告げると、片手を差し出す。



「いこうぜ……主様」



「ふふ……はい」
そっと、その手にみずからのそれを重ねた。
/ 168ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp