第4章 今宵は貴方と【✝️ ⇋ 主 ← 🦾 & 🌹 ✉】
降り立った先は中庭だった。
さぁ……と風が吹き抜け、身体の熱を奪っていく。
「綺麗………。」
ショールをきっちりと巻つけながら、花の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「主様……。」
おもてを上げると、そこにいたのは。
「ボスキ……。」
「こんな夜更けにどうしたんだ」
問いかけながらみつける眼は、わずかな棘を宿していた。
みずからの上着を脱ぎ、肩に着せかけてくれる。
「ごめんなさい。なんだか……眠れなくて」
「だったら……俺と来てくれないか」
驚いて彼をみつめると。
「あー……変な意味じゃねえ。ただ……あんたとみたい場所があるんだよ」
ガシガシと頭を掻きながら呟く。
逸らした頬にはほのかに朱が集っていて、知らず微笑んだ。
「笑うなよ。俺がこういうの苦手だって、あんたも知ってるだろ?」
ぶっきらぼうに告げると、片手を差し出す。
「いこうぜ……主様」
「ふふ……はい」
そっと、その手にみずからのそれを重ねた。