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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第20章 月嗤歌 ED Side A - II【別邸組 *♟】


「やっ……ほんとに、駄目………!見ないでぇ……!」



「なんで? 今のあんたは凄く可愛いぞ」



「えぇ。ハナマルさんの言葉を借りるのは些か癪ですが、私も同感です。

さぁ、………主様。貴女が上り詰めるその御姿を見ていて差し上げますから———」

じゅるるるっ……と同時に乳首と花芽を吸われ、びくびくと大きく身体か跳ね上がる。

頭が茉白に染め上がって、膨れ上がっていた快楽が弾けた。



「あ、………あああぁぁぁっ……!?」

一際甘い声が零れて、彼女が上り詰めた。

ぴくぴくと胸元と内腿を震わせながら、絶頂の余韻に浸るヴァリスの耳が仄かな衣ずれの音をとらえる。



「んじゃ、俺が先でいいよな?」

 

「全く……。主様に選んでいただくという選択肢はないのですか?」

呆れたように告げるユーハンに、ハナマルはにって笑みを零す。



「それじゃ、主様。どっちが先に抱かれたいんだ?」



「!」

びくりと肩が跳ねる。たおやかな指を伸ばせば、大きな掌が重ね合わされた。



「それと———」

そしてハナマルは、思いがけないことを口にした。



「そこにいるんだろ、テディちゃん」



(え……!?)

目隠しの下でみひらく瞳。扉が開いて、コツ……と長靴の音が近づいてくる。



「……いつから気づいてたんですか」

何処か咎めるように口にしながら彼が寝台へと歩いてくる。

視界が遮られていても、テディが烈しい怒りを抱いていることが空気でわかった。



「主様は襲われかけた直後なんですよ……!?

なのに、揃いもそろって………ユーハンさんまで……!」

二人に掴みかかると、ハナマルがふっと嗤う。



「ふーん、………なら、テディちゃんは混ざらなくていいんだな?」



「!?」

ヴァリスが絶句する。



「……ハナマルさん」

咎めるように呼ぶユーハンに、ハナマルは「だってそうだろ?」と唇をひらく。



「混ざる気がないのなら、野暮ったらしく見てないで自分の部屋に戻ればいい」

挑発的に告げると、テディは指を伸ばした。



「そうは言ってません。俺だって、主様が欲しいんですから———」

惑いを振り切るように呟くと、もう一つの温もりがぐっと近づく。
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