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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第4章 今宵は貴方と【✝️ ⇋ 主 ← 🦾 & 🌹 ✉】


「お二人とも、基本のステップは完璧ですし、

あとはそのぎこちなさを取り去れば様になるでしょう」



「良かった……。なんだかラト、ミヤジみたい」

ラトの瞳が危うげに揺蕩う。



「ラト……?」
とまどう瞳に笑みを返す。



「いえ、何でも。………ほら、紅茶が冷めてしまいますよ」
コポポポ……と注がれる紅茶から香る甘い匂い。



「どうぞ、主様」

カップを受けとると、「ありがとう」と微笑む彼女。

口にした紅茶は、ほのかに蜂蜜が広がった。



「ボスキ達も大丈夫かな」

彼女の唇からその名が紡がれたとき、ちくりと僅かな棘が胸を刺す。



「ハウレス……?」

わずかに翳った眼に気づいて、大きな瞳が彼をとらえた。

とまどったように揺れる瞳を見返す。



「いえ、何でもありません。………ラト、そろそろ再開するぞ」



「えぇ」
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