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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第18章 月嗤歌 ED Side A【☔️ ⇄ 主 *♟(激裏)】


「あっ……!」

熱い口腔内に吸引され、艶音が零れ落ちる。



ぬるついた粘膜に包み込まれ、尖らせた舌先がざらりざらりと、

先端の小さな窪みを埋めるように這わされて、彼の下でびくびくとその身を震わせた。


「ぁ、……あ、あぁ………っ」

与えられる感覚にじんわりと馴染みはじめている自分の身体が恐ろしくて、

彼の掌に戒められている指がその腕のなかから逃れようとしたたかに抗う。



けれど解放され筈もなく、寧ろますます強く押さえ付けられる。

滲んだ瞳で見上げれば、その唇が弧を描いた。



「嗚呼、………そのように瞳を潤ませて————」

艶を帯びた低音が、熱い吐息を伴って乳首に吹きかかった。

そんな仄かな刺激ですら、無垢なその身は快楽として掬い上げる。



右胸の乳首を吸いながら、左胸の乳首は指でくにゅくにゅとすり潰される。



その舌と指の所作を追ってしまう我が身の浅ましさが恨めしくて、

ふいと視線を解いてしまうと、指を戒めていた掌が外され優しい指が髪に触れた。



「主様、………主様? 申し訳ございません、こちらを見ていただけませんか」

乱れた髪を払いながら告げられる。



開放された指を、唇にあてがうと、その指に彼のそれが重ね合わさる。

解くでも、外させるでもなく、ただ重ねた掌に一度指を外して彼を見上げた。



「で、でも」



「呼んで。その声で、………その唇で私の名を紡いでください。

この瞬間が紛れのない現実なのだと、貴女の声で実感したいのです」

さらさらと髪を梳かれる。



身を灼くような恥らいと、彼の願いを叶えてあげたい思考とがせめぎ合い、

どっちつかずで決めかねているヴァリスを見下ろして、再度唇をひらいた。
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