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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第15章 Rapunzel【🦋‪ ⇋ 主 ✉*(激裏)】


下記より、夢主Side】


「ん………。」

薄灯りをとらえた気がして、ヴァリスはゆっくりと瞼をひらく。

ぼんやりとしたまま起き上がって、そして驚愕に震えた。



「デビルズパレス……じゃ、ない……?」

そこは、寂れた空気の漂う見慣れぬ一室。

そして足首には頑丈そうな枷が鎖と繋がっていて、心からぞっとした。



「それに、このドレス………。」

ベビードール風の、蒼いオーガンジーをふんだんに使用したナイトドレス。



コルセットやシュミーズといった下着類は一切身につけておらず、

薄い布地から真っ白な肌が透けていた。



「……起こしてしまいましたか?」

突然の声に鼓動が跳ねる。

ふり返ったその先でとらえた影に、慌てて胸元を覆った。



「フェネス……!? 貴方が………どうして、」

みひらく瞳に微笑む彼。

けれどその唇は、常の彼には見止められない別のなにかも滲んでいて………。



「あなたが欲しい」



「!」



「ふれたいんです」



「なにを、言って………、」

とまどった眼差しを向ければ、とん、と肩を押された。

優しく和む瞳のなかに、真っ赤になった自分の顔が映る。



「ふふっ………。始めから、こうすればよかったんですね」

柔らかく、それでいて昏い蜂蜜色の瞳で見下ろしてくる。

制止の声も届かぬ様子で、首筋に顔が埋められた。



薄い唇が素肌をたどる感触に戸惑いながら、彼の胸板を押し戻そうと試みる。



「そんなに厭ですか?

俺に、こんな風にされるのは———んっ………。」

その手首を、蝶のタイピンがついたタイで手早く封じてしまうと、

ちゅ、ちゅる……と吸い付いた。
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