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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第14章 真綿の業【All Characters(地下1階組) ✉*】


「っ……ラト?」
とまどう瞳に、曇りのない眼差しを向ける。



「不思議ですね。ここ……尖ってますよ」

彼がみつめているのは、恥ずかしいほど張りつめた胸の先だ。

思わず身体を隠そうとして、彼の手に手首を封じられる。



「「ラト!」」

ふたつの声が重なる。

咎めるような視線に、彼は不思議そうに呟いた。



「どうして怒ってるんです?

隠していては、いつまでも終わりませんよね」

つかみ上げられた手首はびくともしなくて、ふるりと身を震わせた。



「ラトッ……やっ」



「ふぅむ………主様から甘い匂いがしますねぇ」

すん、と髪に顔をうずめると、肩ごしにふり返った瞳とかち合った。



「は、離して」

そのおもては真っ赤になっていて恥ずかしそうで、艶めいた唇からは拒絶が溢れ落ちる。



「んんっ……!」
吸い寄せられるように唇を重ねたのはフルーレだった。



舌先で唇をなぞると、驚いた彼女がわずかに唇をひらく。

その隙間に舌を滑り込ませると、びくりとその身が震えるのがわかった。



「ん………ふっ、」

ぴちゃり。水音を立てながら、口内を蹂躙する。

時折薄くひらかれる瞳は、酷く扇情的だった。



「ラトにばかり、そんな顔をみせないでください」

すっかり力の抜け落ちた身体を支え、右胸にキスをする。



「ひぅっ!」

そのまま尖りきった乳首を吸うと、華奢な身体が跳ねた。

ふるふるとゆれる反対側の胸に、ラトの顔が近づいてくる。



「では……私はこちらに触れましょうか」
左胸に吸いつかれ、霞んだ瞳が彼らを映す。



「ひ、………ん、ぁ…………あぅ、」

せめてもの抵抗と唇をかむと、細くも優しい指先が唇をなぞる。




「噛んじゃ駄目ですよ。

………せっかく綺麗な色をしているのに、傷がついてしまうじゃないですか」

ちゅ、ちゅる……と甘い匂いを楽しみながら口付けると、びくびくと身を震わせた。
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