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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第14章 真綿の業【All Characters(地下1階組) ✉*】


「それで、依頼って……?」

組み立て途中のドールに、なぜだか胸がさざめく。

その感覚を散らして彼らを見上げた。



「えぇっと……、」
口ごもるフルーレに、ラトがかすかに笑って告げる。



「主様、お召し物を脱いでいただけますか」



「!?」
知らず彼をみつめる。問うような視線に、彼は言葉を重ねた。



「ドールタウンの人形師さんから、

貴女の身体を元にドールを作りたいと、そういった依頼があったのですよ」



「っ……私の?」

みひらく瞳には、羞恥と戸惑いが映っている。

思わず後ずさると、とん、とミヤジの胸に背がぶつかった。



「騙すような真似をしてすまない。——先方がどうしてもと譲らなくてね」

彼の瞳は申し訳なさそうにゆれている。そんな彼にとまどいながら頷いた。



「わかっ……た」

熱くなった頬を持て余したまま、ゆっくりと釦を外していく。

唖然とした様子の彼らに、泣きそうになりながら声をかけた。



「後ろ、向いてて」



「! あぁ」

慌てて彼らが身を反転させる。



しゅるり、しゅる、しゅる。
かすかな衣擦れの音が止み、真っ白な肌が晒された。



「も、もう大丈夫………っ」

恥ずかしそうに唇をかみ、白い肌をかすかに染めている。

震えていても尚、身体を隠すことはなかった。



「スケッチ、すぐ終わらせますから、」

つられて頬に朱を散らしたフルーレが、古ぼけたスケッチブックをとり出す。



「う、うん」



(お願い、早く終わって………っ)

カリカリ、カリカリ。

ペンを走らせる彼の傍らで、ラトの手が伸びてきた。
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