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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第13章 漆月☩しづき☩の惑い【🗝 ⇆ 主 *】


「ヴァリス、様………。」



「ん……あぁ、……ぁ、………ひぅっ」

ずん、ずん、と最奥をノックされ、ひっきりなしに艶音が零れる。

指先をからめ合ったまま、その瞳が優しく和んだ。



「愛してる……あんたを、愛している………。」



「っ………。」

あふれた涙を唇で追い、舌先で捕まえて。

力強く揺さぶると きゅううう、と狭まる内側。

それが彼に更なる快楽を齎し、彼女を包み込んだ。



「っ……俺が怖いか?」

なけなしの理性が崩壊しそうで怖いのは、寧ろ自分自身だ。



そんな彼の背に腕をかけ、どこまでも受け入れてくれる彼女。



「貴方が怖いなんて、一度も思ったことないよ………。」

微笑うおもてに胸が痺れる。

ずん、ずんとすり上げながら、その手を持ち上げた。



「ヴァリス様……!」

手の甲に口付け、その奥に熱を解き放つ。

どくどくとすべてを注ぎ込むと、からめ合った指先に力が宿った。



「ぁっ……あぁ………!」

悩ましく身を震わせて、彼女が上り詰める。

こつん、と額をくっつけて、微笑い合った。



「大好きよ……。」
夜の帳が抱き合うふたりの影を包み込む。



窓の外では星が煌めいていて、なんだか泣きたいくらいに綺麗だった。
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