第13章 漆月☩しづき☩の惑い【🗝 ⇆ 主 *】
「ナッ……ク」
そんな彼を、受け入れたい。………心からそう思った。
背にかけられていた手が、首元に回され………。
「っ………ん、」
触れるだけのキスをひとつ。
「名前で、呼んで……。………大好きよ」
みひらく瞳。遅れて、みるみる頬が染まった。
「………あんたって人は」
「え、………ふぁっ!?」
角度を増した象徴で、くり返し内奥を抉る。
激しい抽挿に、視界が茉白くけぶった。
「やっ…… 激しっ………やあああぁっ」
「ヴァリス様、………ヴァリス様」
譫言のように名を呼ばれ、熱い口付けを交わす。
「ま、……って、お願い………待ってえぇ!」
がつがつと腰を打ち付けられ、すがるものを求めて手を伸ばす。
しっかりとその手をつかんで、ただ内側を征服した。
「待てない。ずっと……あんたに触れたかった………!」
最奥を捏ねられ、思考の奥で火花が散る。
こんな彼は知らない。
目の前のひとは、よく似た別人なのかと誤解しそうになる。
けれどからめ合った指先も、
優しく自分を見下ろす眼差しも、すべて「彼」のもので。
「すき、………ナック、すきよ」
しっかりと抱き合って、ただ互いの熱に溺れる。
柔く解けた瞳に映る、自分のおもては、とても幸せそうだった。