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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第13章 漆月☩しづき☩の惑い【🗝 ⇆ 主 *】


「ふふ……さっきよりもあふれてくるぞ。

俺の指はそんなに良いのか?」

きゅううぅ、と狭まる内側が何よりの答えで、彼の瞳が嬉しそうに解ける。



その瞳は悪戯が成功した子供のように、無邪気に煌めいていて、

それでいて隠し切れない渇望が見え隠れしていた。



彼女のおもてが歪み、その瞳に水の膜が張る。



「や……そんな、………きゃあっ!」

ゆらゆらと霞む瞳は、囚われたあの日と変わらぬ煌めきを宿していた。

彼の袖をつかみ、せめてもの抵抗とかぶりを振る。



「あんたが気持ちよくなると、俺も——」

指先を導いた先は、張りつめた彼の象徴。



「あんたが、こんなにしたんだぞ……お嬢」

真っ赤になったおもてを、柔くみつめる瞳。

ちゅぷん、と指先を引き抜くと、切なそうにゆれる瞳。



衣擦れの音をぼんやりとした思考の奥でとらえる。

顕になってくその肌を、ポカンとした様子でみつめていた。



細身でありながら、無駄な肉のない、鍛え抜かれた身体。

強烈に、男を感じた。



そしてトウラザーズの釦を外すと、ずるん、と痛々しい程に張りつめた象徴が躍り出る。



彼女はそれを目にした途端、まるで幽霊でもみたように瞠目する。

けれどそれが彼自身だと気づくと、さっと視線を解いた。



その横顔はさらに紅くなっていて、そっと頬にキスを落とす。
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