第10章 これから
杏寿郎は緋色を抱き締めた。緋色もおずおずと杏寿郎の背に手を回す。
「、、っ、、」
杏寿郎は緋色の後頭部を手を回すと、緋色へと口付ける。触れるだけの口付けを落とし、緋色の唇を柔らかく食む。薄く開いた唇の隙間から、舌を入れる。緋色は久しぶりの深い口付けに、眩暈にも似た感覚を感じていた。体が熱いのに、フワフワと浮いているようだ。
「いつ口付けても、君は甘いな。」
杏寿郎は緋色を布団に押し倒す。
「辛かったら言いなさい。」
緋色が小さく頷いたのを見て、杏寿郎は緋色のおでこを口付けを一つ落とした。自分の寝衣を脱ぐと、緋色の寝衣の帯も解く。
「いつ見ても綺麗だ。」
緋色の白い肌は、ほとんど傷がない。霧鬼との戦いで、緋色は表面上は傷を負っていなかった。
「生きていてくれて、本当に良かった。」
杏寿郎も思い出したのだろう。緋色が命をかけて戦ったことを。
緋色の心臓の辺りにおでこをつける。ちゃんと動いているか確認するように。
「、、っ、、」
杏寿郎は顔を上げると、そこに赤い跡を残す。