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炎のように【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】

第10章 これから


「緋色。」
呼ばれた緋色は、呼んだ愛しい人を見た。
「もう少し近くに来てくれないか?」
杏寿郎が苦笑するように笑い、緋色に隣りに座るよう促す。
「たくさん食べたか?」
緋色が隣りに座ると、杏寿郎は顔を覗き込んでくる。するり、と杏寿郎の手が緋色の頬を撫でた。
すでに食事も湯浴みも終わっている。今夜は杏寿郎の任務もない。今は杏寿郎の部屋に二人きりだ。
「君の好物をたくさん用意したんだ。少しでも喜んでくれたなら嬉しい。」
緋色は、卵焼きや蒸した白身魚のような口当たりの柔らかいものが好きだった。今まで言ったことはなかったが、普段の食事から緋色の好物に気づいたのだろう。そんな心遣いが、緋色にはとても嬉しい。
「そうか。それなら良かった。」
杏寿郎が満足そうに頷く。緋色が嬉しかったのが伝わったのだろう。本当にどこまで人の心のわかる人なのだろう。
「、、、緋色、今自分がどんな顔をしているか、わかっているか?」
どうやらバレてしまったようだ。緋色は、視線を下に下げる。
「俺の気のせいでなければ、ずいぶん色っぽい顔をしているぞ。」
そりゃ、緋色だって人間だ。好きな人と久しぶりに二人きりになれば、そういう気持ちにだってなる。
「緋色。」
杏寿郎の手が緋色の頬にかかる。緋色が顔を上げると、杏寿郎が息を飲む音がした。
「見間違いではなかったようだ。
 俺も緋色が欲しい。いいだろうか?」
緋色は小さく頷く。
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