第5章 緋色の秘密
座ってることも立っていることも出来ず、緋色は走り出した。
どこに向かっているわけでもない。でも、そうでもしないと自分がバラバラになりそうだった。
「ふと気づくと知らない村まで来ていました。どこをどう走ったのか記憶もありませんでした。」
帰る場所もわからず、さらに今まで頼っていた姉がいないことに絶望感を感じた。
「このまま死んでもいいや。そう思いました。」
その村の外れにある、大きな木の下に座り込んだ。
『俺の家の前で死ぬ気か』
そう声をかけてきたのが緋色の育手になる人だった。
「たまたまその村に育手がいたのです。私の事情を知ると鬼殺隊のことを教えてくれました。」
『お前に命をかける覚悟があるなら鍛えてやる。』
口の悪い老人だった。
「私はそこで師匠に鍛えてもらい鬼殺隊に入りました。」
血の滲むような努力を重ねた。修行は厳しかったが、姉のことを思うとどんな修行も耐えられた。