第4章 逢引、またの名をデート
「さぁ、好きな物を頼むといい。」
少し離れた場所にある甘味処に、二人手を繋いで歩いて行った。
席に着くと杏寿郎がメニューを差し出した。緋色はメニューを受け取るが、そのまま杏寿郎にメニューを返してしまう。その目は困っているようだった。
「こういうところは初めてか?」
杏寿郎の問いに緋色は小さく頷く。初めての場所、初めてのメニューでどうしたらいいのかわからないようだ。
「そうか。では主人、注文を頼む。」
杏寿郎が次々と注文していく。あっという間にテーブルの上はたくさんの甘味で埋め尽くされた。緋色が杏寿郎を見る。
「気になる物を食べてみればいい。残ってもちゃんと食べるから心配するな。」
そう言って、ここのオススメだと言うみたらし団子を彼女の前に置いた。おずおずと緋色が手を伸ばす。恐る恐るという感じで、みたらし団子を口に入れた。美味しかったのだろう。緋色の表情が柔らかくなった。
(良かった。気に入ったようだ。)
杏寿郎も甘味に手を伸ばした。