第4章 逢引、またの名をデート
今日は出掛ける日。杏寿郎はソワソワと玄関口で立っていた。
(直前になって断られたらどうしよう。いや、緋色はそんなことしない。)
ぐるぐると同じことが頭の中を回っている。
「、、、お待たせ致しました。」
緋色の声に杏寿郎は顔をそちらに向けた。杏寿郎の贈った藤色の着物は、凛とした彼女に良く似合っていた。
「あぁ、今日はまた格別に美しいな。良く似合う。」
「、、、ありがとうございます。」
緋色はすっ、と杏寿郎から視線を下げた。
嫌がられてはいないようだ。
(少しは期待してもいいのだろうか。)
このまま彼女はいろんな表情を杏寿郎に見せてくれるようになるのだろうか。
杏寿郎は緋色の手を取った。
「さぁ、行こう。」