第4章 誰のもの
「……?」
りんがそれに戸惑っていると杏寿郎が『最初はグー!!』と声を掛ける。
(お支払いはじゃんけんで決めてるんだ!!)
りんはそう理解すると慌ててパーを出した。
それを見た実弥と小芭内が固まる。
りん以外、皆チョキを出したのだ。
「わあ!男性にお食事おごるの初めてです!」
天「お前それ他で言わない方がいいぜ。」
「知ってる。でも不死川さんと伊黒さんにはあけすけに話しても大丈夫な気がしたの。杏寿郎さんは言うまでもなく!」
りんは笑顔でそう言いながら財布を取り出そうとする。
しかし——、
杏「女将さん勘定をお願いします!!お釣りは今度頂戴します!!ご馳走様でした!!!」
いつの間にかお金を台に置いていた杏寿郎はそう言うと、りんの手を掴んであっという間に外へ出てしまった。
「………………。」
りんは杏寿郎に少し恨めしそうな視線を送った。
一方、杏寿郎はそれに気が付いて振り返ると明るい笑顔を返す。