第3章 相手を知るということ
(…………。)
りんは首を傾けながら背の高い連れを避けてその店を見た。
そこはいわゆる大衆酒場であり、りんにとっては馴染みのないものであった。
「わ…、」
りんが目を輝かせると杏寿郎は微笑ましそうな表情でその顔を見下ろした。
杏「その様子だと来たことがないのだな!隠れた名店だぞ。食べ物も美味いのでよく来るんだ!」
「へええ…!ご一緒できて嬉しいです。」
りんが嬉しそうに笑うと杏寿郎はその笑顔を愛でながらそっと慎重に頭を撫でた。
実「おら、イチャついてねぇで早く入れェ!」
杏「む!すまない!!」
杏寿郎がそう言って手を繋いだまま店内に入ると、目ざとい女将が目を丸くした。
女「あらー!煉獄先生とうとう彼女できたの!?まあ……、これまた…色っぽい子で…。」
杏寿郎の前でそういった扱いをされたりんは恥ずかしくなって真っ赤になった。
それを見た女将は自分の目利きが間違っていた事に気が付いた。