第3章 相手を知るということ
「何も知らないくせにすぐ決めつける人は嫌いです。私は杏寿郎さんに嘘を…今はついていないですし、別れるつもりもありません。」
刺々しい声でそう言うと、今度は天元を睨む。
「天元くん…、何の為に杏寿郎さんの名前を使って呼び出したの?何がしたいの?なんでこういう人達とわざわざ会わなきゃいけないの?」
天「別に悪気があったわけじゃねーよ…。」
そんなやり取りをしてピリついた空気になると、流れを見ていた杏寿郎が笑みを浮かべた。
杏「…うむ!任せてくれ!!」
「え…?」
杏寿郎はおもむろにりんの両肩を掴むとしっかりと視線を合わせて優しく微笑んだ。
杏「俺は君の笑顔が好きだ!とても愛らしい!!」
「………………なにを…、」
杏「髪も好きだ!色も綺麗だし、艷やかで梳いたら気持ちがいいのだろうなと思っていた!いつでも梳けるような間柄になりたい!!」
「…杏、寿郎さん……。」
杏「もちろん内面も好きだ!俺にはすぐ心を開いてくれたところも大変好ましいが、もはや流されやすいところすら愛おしい!!」
「……………………………………。」
天元と実弥と小芭内は俯いてしまったりんの真っ赤な耳を見つめていた。