第3章 相手を知るということ
実「その女呼び出せェ…。」
小「ほら見ろ、早速騙されているじゃないか…。」
杏「…りんさんを呼ぶのか?」
三人の気持ちが『りんに会いたい。』で一致してしまうと天元は深く溜息を吐いた。
天「昨日の今日でこれかよ。」
———
(……何だったんだろう…さっきの……。)
りんは上司の事を考えてぼーっとしながら電車に揺られていた。
すると、私用のスマホが震える。
「!」
(期待しちゃだめだって分かってるけど…、)
りんは小さな可能性に期待しながらスマホを取り出した。
(…なんだ、天兄…………か…、)
すぐにポケットに戻そうとしたが、ちらりと見えた文面に固まる。
(…………え?)
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天「よォ。」
「杏寿郎さん!お疲れさまです!」
最寄り駅に着いてすぐ、りんは天元に返事をする前に杏寿郎に駆け寄った。
そして、スーツ姿を見て少し頬を染めた。
ジャケットは着ていなかったが、白シャツという爽やかな装いは杏寿郎の雰囲気にとても合っていた。