第3章 相手を知るということ
杏「だが…恋人だろう。なるべく多く会いたい。」
発想はともかく、天元はそんな言葉が杏寿郎から出てきた事を嬉しく思った。
天「まー週末会うんだろ?社会人なら十分なんじゃねーの?」
杏「……うむ。そうだな。」
杏寿郎は残念そうに微笑んでそう言うと、パッと切り替えていつもの笑みに戻った。
杏「そういえば君に意見を聞きたい事があったんだ!!週末についてなのだが、」
男「おめぇらうるせーぞォ。」
男「宇髄が何かしたんだろう。」
杏寿郎が天元に相談をしようとした時、二人の男が寄ってきた。
すると悪者にされた天元が眉を寄せる。
天「相談に乗ってただけですぅー。何で煉獄は悪くねぇみたいな流れになんだよ。いっつもいっつも。」
それに『日々の行いを見てればそうなる。』と口を揃えるのは不死川実弥と伊黒小芭内だ。
四人は同い年であり、なおかつ中学も高校も同じ学校であった為に生徒がいない場では『○○先生』と呼ばない事が多いのだ。
実「煉獄、お前相談する相手間違ってんぞ。」
小「俺が聞いてやる。」
親切にそう言われるも、杏寿郎は言葉にするのを躊躇し、口角を上げたまま固まった。
いつもはスパンッと物事を気持ち良く言う杏寿郎がそんな珍しい態度を取ると、二人は『何かしたのか。』という目で再び天元を見つめた。