第3章 相手を知るということ
「……え…、」
りんが驚いて顔を上げると、藤川は手の甲でりんの頬をスリッと優しく一撫でする。
「…っ」
藤「…………。」
りんが肩を跳ねさせて初心な反応を見せると、藤川は目を大きく見開いた。
藤「…君……、」
そのギャップと、皆は知らないであろう一面を見付けてしまった事で何かが大きく膨らんだ。
試しに一歩近付いてみれば、りんは目を見開いて躓きそうになりながら後ろへ下がる。
その顔には強い焦りと恐怖心のようなものが浮かんでいた。
藤「……ごめん。怖がらせる気はなかった。ただ反応があまりにも意外だったから。」
そう言うと宥めるように頭をぽんぽんと撫でる。
りんはそう子供のように扱われると恥から顔を赤くした。
「いえ…。」
藤川はその真っ赤な顔を見ながら引き返せなくなった気持ちを自覚したのだった。