第3章 相手を知るということ
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恋心を寄せるりんがそんな事になっている頃、それを知らない杏寿郎はりんを忘れるよう努めながら授業をしていた。
杏「うむ!では座学はこの位にして、この合戦を騎馬戦で再現するぞ!!」
その言葉に生徒が沸く。
杏「机を寄せたら、出席番号が奇数の者は前に、偶数の者は後に集まってくれ!!」
毎度こんな授業をしているが、この学園に歴史の成績が悪い生徒はいない。
杏寿郎の手腕と人望故なのだろう。
杏「うむ!組んだな!では始めるぞ!!」
その号令と共に教室は騒がしくなった。
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藤「では明日からは留守を頼むよ。」
終業時間になると、出張を明日に控える藤川は早めに席を立った。
「畏まりました。」
そう言って下げる頭に手が伸びる。
いつもは留まっていたその手は今日、プライベートな話をできてしまったが故にとうとう頭に届いてしまった。