第3章 相手を知るということ
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———ピピピッ、ピピピッ
りんはアラームの音を消すとなんとか起きて仕事モードに切り替えた。
(資料は余裕を持って出先に送っておいたけど未だに確認が取れていない。待てるのは今日のお昼までだわ。部長は荷物が増えても嫌な顔しないだろうけど…。)
りんの上司、営業部長の藤川誠司という男はりんが評したように確かに優しい男だった。
だが、それには重要な補足事項がある。
藤川とりんの間に噂がたった原因は、りんの容姿や雰囲気が華やかであったからである事は確かだ。
しかし、それだけではない。
大きな原因の一つは彼自身の態度にあった。
そう、彼はりんに "特別" 優しかったのだ。
残念な事にりんはそれに気が付いていない。
何故なら藤川はりんを困らせてきたような軽薄な男ではなかったからだ。
そして他の部下にも "普通に" 優しかった。