第2章 初めての彼氏は…、
「ご、ごめん!杏寿郎さんから着信きてた!切るね!」
天『え、ちょ』
りんは天元の返事を待たずに通話を切ると急いで杏寿郎に折り返した。
しかし、なかなか出ない。
(まだ寝るには早いけれど…。どうしよう、気分じゃなくなっちゃったのかな…。)
そう思うと、声を聞けると思って膨らんだ期待は萎んでいく。
そして、『すぐに出なかったから嫌われてしまったのではないか。』、『本当は着信に気が付いているのに出ないでいるのではないか。』などと被害妄想が浮かんできてしまった。
(ううん、杏寿郎さんはそんな事考えない、そんな事しない…。多分、何かしてて気が付かないだけ…。)
———
一方その頃、杏寿郎はさつまいもプリンを食べていた。
杏「うまい!これは当たりだな!」
杏寿郎はそう評したが、今のところ杏寿郎が『はずれ』だと言ったことはない。
そうして味わいながら、湧いてきそうになる黒い感情になんとか蓋をする。