第2章 初めての彼氏は…、
杏(許可を得てから触れるべきだったろうか。恋人とはいえ、まだ色々と理解が足りていない部分が多い。これからはもっと慎重に…、)
そう思った杏寿郎の視線の先で、握られた手に視線を落としているりんがほんの僅かに微笑んだ。
その桜色の笑みを見た杏寿郎は再び胸をぎゅっと掴まれたような感覚を覚えた。
杏(…手に関しては嫌がっていないようだな。)
そう思うと握る手に自然と優しい力がこもる。
りんはそれを感じると、喉をこくりと鳴らしてからほんの少し握り返してみた。
杏「…………………………。」
杏寿郎は握り返されると目を大きく見開き、膨らんだ何とももどかしいような幸せなような気持ちを抑えた。
そうしなければもう片方の手も伸びてしまいそうだったのだ。
「……杏寿郎さんの手って熱いですよね。髪も目も炎みたいな色で綺麗だし…。わたし、好きです。」
りんがそう言って二人の手から視線を上げると、杏寿郎は驚いた顔をしていた。
それを見たりんはハッとした後、真っ赤になった。