第2章 初めての彼氏は…、
「杏寿郎さん、やっぱりホームまでで良いですよ。体調も崩していないですし、酔ってもいません。それに明日は月曜ですし…部活によっては朝練とかもあるんじゃないですか?」
りんに合わせて立ち止まった杏寿郎は眉尻を少し下げ、優しい笑顔を浮かべる。
杏「確かに朝練はあるが、先程も言った通り少しとは言え酒が入っている。このまま一人で帰せば俺が気掛かりなんだ。送らせてくれないか。」
そこまで言われれば断れない。
りんは頷くと『よろしくお願いします。』と頭を下げた。
杏「よもや!俺と同じ方面だな!」
りんが向かったホームを見て杏寿郎は驚いた声を上げた。
「本当ですか?少しでも負担が減るのならよかったです。真逆だったらどうしようかと…。」
杏「俺は世田谷だ!」
「あ、私も最寄り駅は世田谷線ですよ。」
杏「いや、最寄り駅が世田谷駅だ!」
杏寿郎の言葉を聞いたりんは一瞬フリーズしてからパッと明るい笑顔を浮かべた。