第10章 使命感
「ひ、秘書の立場は弱いんです…!上司あっての秘書なんです。よっぽど酷い扱いを受けていない限り、秘書の方から担当を変えて欲しいなんて言えません!言ったら仕事がなくなってしまいます…!」
りんを責める気などなかった杏寿郎は、そう訴えるりんの頭を宥めるように優しく撫でた。
「あ…す、すみません…わたし、」
杏「そうか。君が今の会社で働く以上、身動きが取れないのだという事は分かった。それなら違う会社を探す事も考えておいてくれ。」
ずっと憧れていた会社だっただけにりんはすぐに頷けなかった。
杏寿郎はその正直な反応を見ると少し困ったように微笑んだ。