第10章 使命感
(こんなに近くにいるのに伝わらない…。)
杏寿郎も藤川の厄介さに驚いていた。
杏(これは流石にアウトだ。担当の上司を変えてもらう必要がある。)
———しかし、何とか藤川を帰した後、りんはその当然の提案に頷かなかった。
杏「彼の今日の行動はストーカー行為に近い。このまま一緒に働くのは良くないと君も分かっているだろう。」
「ですが…、それでも上司です……。」
杏寿郎の隣でソファに座っているりんは蚊の鳴くような声でそう返した。
杏「上司が相手ならプライベートに踏み込まれても黙っているしかないのか。」
『おかしな事を言っているぞ』と言われた気がしたりんはカッと頬を熱くさせ、拳を握ってパッと顔を上げた。