第10章 使命感
藤「水瀬さん。」
深刻そうに名を呼ばれたりんは眉尻を下げたままだ。
「は、はい…。」
藤川はその弱々しいりんを見て目を細めた。
藤「何でも相談してくれないかな。君と私は朝から晩まで一緒にいる仲なんだ。頼るのは自然なことだろう?」
その言葉に妙に近い距離感を覚えたりんはぞわりと鳥肌を立ててしまった。
(杏寿郎さんのお迎え…部長には全然効果なかったみたい…。)
「……お気遣い…ありがとうございます…。」
そう礼の言葉を口にしながら、りんは冷や汗にじむ手をぎゅっと握りしめ直したのだった。