第10章 使命感
杏「どうした!!体が辛い時は食事の用意などしなくて、」
「ご、ごめんなさい…!わたし…っ」
杏寿郎は泣き出したりんの涙を拭いながら弱った顔をした。
杏「君を寝室へ連れ帰ってから考えたんだ。君は元々風邪でも引いていたのではないか。それで俺に移すまいとして誘いを断り、寝る時もソファへ行って俺から離れようとしたのでは、」
それを聞いたりんがますます泣くので杏寿郎は慌てて口をつぐんだ。
「わたし…私は…、杏寿郎さんが思ってるほど心の綺麗な人間じゃないんです……。」
りんはそう言うと自身の涙を拭う杏寿郎の熱い手を掴まえてしっかりと握った。
一方、りんの言葉にいまいちピンときていなかった杏寿郎は首を傾げている。
杏「君の心は十分綺麗だと、」
「い、厭らしい気持ちになっちゃうんです…!」
りんはようやく白状すると杏寿郎の手をぎゅっと握りながら俯いた。