第10章 使命感
杏(何故わざわざこのような所で…、体を痛めるだろう…。)
そう思うと少しためらってからりんをそっと抱き上げた。
杏「会社へ迎えに行った時はすれ違いなど感じなかったのだがな…。」
杏寿郎は珍しく気落ちした声を出すと、深く眠るりんを抱いたまま寝室へ戻ったのだった。
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(…………あれ……?)
りんはアラームの音が随分と遠くから聞こえている気がして不可解そうに眉を寄せた。
(たしかにソファまで持ってきたはず…、)
そこまで思ってパッと目を見開いた。
寝室の杏寿郎の元でアラームが鳴り続けているのだと勘違いしたからだ。
「…………あ、れ…?」
しかし、スマホではなく自分自身が寝室にいることに気が付くと青くなった。
(ソファで寝てたの見付かっちゃったんだ…。)
りんはそう気まずく思うと、アラームを止める為にリビングへ急いだ。