第10章 使命感
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杏(…………………………。)
りんが出て行ってからしばらく経った頃、杏寿郎は違和感を覚えて目を薄く開いた。
そして、手元にりんがいない事に気が付くと焦りと共に一気に覚醒した。
杏(…いや、手洗いに行っただけだろう。)
すぐ冷静に戻ってそう思ったが、シーツを触ればりんの熱が残っていないことに気が付いた。
杏(……………………。)
初めて断られた事もあって、らしくないネガティブな感情が湧きそうになる。
杏寿郎は眉を顰めてそんな雑念を振り払うようにベッドを出た。
杏「……………………………………。」
——そして、ソファで居心地悪そうに丸くなって寝ているりんを見付けた。