第10章 使命感
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(……もう大丈夫かな…。)
杏寿郎が寝入ってから十分に時間が経つと、りんはようやく杏寿郎の腕の中から脱した。
しかし———、
「…っ」
物足りなさを感じていたからか、杏寿郎が再びりんの体に腕を回した。
(………寝てる…。びっくりした…このくらい時間が経てばいつもは動かないのに…。)
りんはまたこっそりと腕の中から脱し、少し離れたところで丸くなって眠ろうとした。
しかし、またもや杏寿郎が後を追ってきてりんをぎゅっと抱き寄せた。
「…………………………。」
(久しぶりにたくさん寝られると思ったのに…このままじゃ少しも寝られない…。)
そう思ったりんはとうとうベッドから抜け出し、寝室を出て行ってしまった。