第10章 使命感
杏「………………………………。」
一方、初めて断られた杏寿郎は固まってしまった。
特に今夜はいつもより多く愛そうと思っていた為にまだ早い時間だ。
杏(夜遅い訳でもないのに拒むとはどういった理由が…、)
杏寿郎は眉尻を下げて喉をごくりと鳴らす。
杏「理由を聞かせてくれないか。」
「…それは……………、」
りんは耳まで赤くなると俯いて黙りこくってしまった。
寝室に気まずい沈黙が流れ、杏寿郎は冷や汗を流しながらりんの手を優しく握った。
杏「抱き方に問題があったのだろうか。」
「い、いえ…!」
杏「では、そもそも抱かれる事が嫌なのだろうか。」
「…………そうでは、ないですが…。」
杏「俺は君を抱くことで幸福感を得られるのだが、君は違うのか。」
「………………………それ、は………、」